検索デスク 視点(18) 1999年3月24日

ドメイン移行で検索サイトは使えるか
   視点(18) 1999年3月24日

1. はじめに

  来るべきものが来ました。それは or.jp から ne.jp へのドメインの移行です。実社会であれば上手く処理していたと思いますが、インターネットの世界では少し勝手が違います。管理者がいないせいか、おのおのが好き勝手なことをしています。ドメインを取り仕切るJPNICもPRなどして注意を促していますが、ネットワーク管理者とのパイプがあっても、一般ユーザーとの対応には難しいようです。

  一体全体どうなってるのか、Y2K問題と同様に、まもなく来る4月1日にならなければわからないのが現状です。そこで今回は検索サイトの調査を通して、検索サイトのドメイン移行の現状をレポートします。検索調査で利用できる方法は限られていますが、少しの手がかりをもとに、まだ知られていない新しい事実が得られましたのでご報告いたします。

2. or.jpからne.jpへのドメイン移行

  そもそもの発端は1996年11月に始まります。JPNICがNEドメイン名を新設し、ORドメイン名からNEドメイン名への移行を促し、新旧併用の期限を1999年3月末日までとしました。これは非営利団体(or.jp)とネットワークサービス(ne.jp)とを分離するためであり、ドメイン名の世界レベルの整合性を保つためです。その頃ですが、ntt.jpがntt.co.jpに変更しています。1997年末頃から徐々に移行のアナウンスが始まりました。私が入っているBekkoameも1998年4月末に移行のアナウンスがあり、当検索デスクも、「お願い!:URLの変更 1998.5.15」、を出しています。

  もし、私がor.jp以外のドメインでしたら、移行のアナウンスを知っても、自分には関係ないと思ったことでしょう。これが一般ユーザーの反応なのではと思います。しかし、たった2文字を変更するだけですが、この4月1日になれば、移行予定のor所有者以外のすべての人に影響します。電子メールやメーリングリストのあて先の変更、そしてWeb情報をあらわすURLの変更が必要になります。エディターなどでor.jpをne.jpへの変更するだけですむもの、相手に変更通知をださなければならないもの、あるいはソフトの設定を変更しなければならないものなど、人によっては数十箇所の変更が必要になります。

  ビギナーの人なら戸惑いますし、ずぼらな人ならしばらく無視するかも知れません。郵便番号が5桁から7桁に替わった時は、5桁で郵便を送っても届いたのですが、今回ばかりはそれは通用しません。インターネットからメールアドレスやURLが抹消されますので、あとからいくら騒いでもどうにもならなくなります。日本のように対策タイプの国民性では、やはり騒ぎが起きなければ動こうとしません。ネットワーク管理者の努力が続けられていますので、ユーザーに知られずに解決するかも知れません。しかし、期限まで1週間に迫った現段階の状況を調べることは有意義だと思われます。

3. 検索サイトはURLの集積場

  言うまでもなくURLを一番抱えているところは検索サイトです。ロボット型検索サイトでは平均 1,000万ページのデータを蓄積し、検索サービスに応じています。URLは収集した情報の識別コードでもあり、情報の所在をあらわしています。

  このロボット型の場合は、ページの全文を索引化するため、ページ内にあるリンクまで索引化します。数百のURLをもつリンク集もありますが、平均すれば数倍の世界です。したがって、ロボット型の場合は、平均 1,000万URLと 数千万リンクのURLを所有していることになります。一方、ディレクトリ型検索サイトは平均 20万サイトのデータを蓄積しています。短い紹介文を索引化するのですが、その中にほとんどリンクを含まないため、20万URL以外のURLはないと見なせます。

4. ドメイン検索について

  さて、これらの膨大なURLのうち、どれ位が今度のドメイン移行で影響を受けるのかが問題になります。検索調査する前に、各検索サイトのドメイン検索についてまとめました。表の機能欄は、ページやサイトのURL部分を限定して検索できるのを○印、できないのを-印とします。そして利用欄はac.jpやinfoweb.ne.jpなどのドメイン検索できるのを○印、何らかの制約のあるのを△印とします。なお、URL検索が不可能な検索サイトは除きました。

  検索サイトのドメイン検索方法

ロボット機能利用コメント
InfoseekJマニアック検索でURLとフレーズを選択
goo検索先設定でサーバロケーションの設定を選択
InfoNaviアドレス(URL)を選択
AltaVista日本語を選択しコマンドurl:を使う。例 url:or.jp
ディレクトリ機能利用コメント
NTT DIR検索結果/詳細/URL検索。
httpから全部入力
YahooJピリョードを空白とみなしてOR検索
InfoNaviアドレス(URL)を選択
NetplazaURL部分をフレーズ検索
DragonN10,000以上の検索数を表示しない
JOY出力は30まで

5. ドメイン別Web情報の分布

  ロボット型は、goo、InfoNavigator、AltaVistaを、そしてディレクトリ型はYahooJ、InfoNavigator、Netplazaをそれぞれ選びました。その結果とグラフを以下に示しました。ここで、新しい事実が浮かんできました。

  ロボット型の1・2位はco.jpとac.jpで計42.5%、3・4位はor.jpとne.jpで計35.3%です。一方、ディレクトリ型の1・2位はne.jpとor.jpで計61.2%、3・4位はco.jpとac.jpで計23.8%です。

  ロボット型とディレクトリ型では1・2位と3・4位は入れ替わっています。co.jpとac.jpはビジネス用、or.jpとne.jpは家庭用とみなせます。本題のor.jpを見ると、ロボット型は18.7%で総数を1,000万とすれば187万になります。リンクを含めるとその数倍のor.jpがあるとみなせます。一方、ディレクトリ型は29.8%で、総数を20万とすれば6万です。数は少ないですが、割合が多いため、ドメイン移行の影響は大きいといえます。

  ロボット型検索サイトのドメイン別分布(単位:1,000) (1999年3月22日現在)

検索サイトco.jpac.jpor.jpne.jp合計
goo3,1873,3542,2321,4062,62812,807
InfoNavi2,5401,7212,1472,7362,28911,433
AltaVista1,4111,2791,5671,1242,3547,529
平均2,3792,1181,9821,7552,35410,589
割合22.5%20.0%18.7%16.6%22.2%100.0%

  ディレクトリ型検索サイトのドメイン別分布 (1999年3月22日現在)

検索サイトne.jpor.jpco.jpac.jp合計
YahooJ86,32161,69750,35312,66632,977243,964
InfoNavi53,94675,19938,6944,89030,856203,585
Netplaza49,78843,41034,4783,18927,645158,510
平均63,35260,10241,1756,91530,476202,020
割合31.4%29.8%20.4%3.4%15.1%100.0%

6. or.jp はどれ位あるのか

  ドメイン移行問題で注意すべきことがあります。それはすべてのor.jpがne.jpに移行するのではなく、一部のプロバイダーだけが移行することです。前節ではor.jpが全体の中でどれくらいの割合を占めるかを求めたのですが、今度はor.jpのなかでどれだけがne.jpに移行するかを求めなければなりません。すでに移行しているところもあり、あくまでも現状の割合です。

  さて、どのor.jpが移行するかを知る必要があります。幸いなことに、ディレクトリ型検索サイトを運営している URL: http 「うえぃぶなび」がドメイン変更リストの一覧リストを昨年の1月に公開し、当検索デスクも1998年1月23日の動向ニュースで取り上げています。そのリストの最新版には移行する128種類のドメイン名が載っています。

  そこで、ドメイン検索が比較的安定しているディレクトリ型のNetplazaで128種類の検索を行いました。その結果から検索数40以上になる37種類をピックアップしました。なお、その際の37種類の検索数合計は検索総数の94%を占めています。(上位15で80%、上位24で90%)。ロボット型は、goo、InfoNavigator、AltaVista、ディレクトリ型は、InfoNavigator、Netplaza、Dragonについて上記の37種類のドメイン検索を行いました。その結果を以下の表にまとめました。

  移行するドメインの割合(単位:1,000) (1999年3月22日現在)

.gooInfoNAltaInfoNNetplDrag
移行分222151275251511
or.jp総数2,2322,1471,5677543---
移行分/or.jp10.0%7.0%17.6%33.5%34.4%---
総数12,80711,4327,52920415975
移行分/総数1.7%1.3%3.7%12.4%9.4%14.7%

7. ディレクトリ型検索サイトへの影響は大きい

  ここでもロボット型とディレクトリ型との差がでています。ロボット型の移行分の割合は2.2%であるのに対して、ディレクトリ型は12.2%と5.5倍も多くなっています。ロボット型は更新を繰り返しているため、徐々にor.jpが除去されています。一方のディレクトリ型は歴史も古く、更新しないデータを蓄積していることがわかります。ロボット型の場合、該当するor.jpをne.jpに変更するにはソフトを使えば可能です。収集したページのURLに対して変更することは何ら差し支えないのではと思います。

  さらに一歩踏み込んでリンクに対しても変更ができればよいのですが、これは難しいかも知れません。次に、ディレクトリ型ですが変更することは量が少ないため簡単にできます。しかし、登録で受け付けた内容を変更できないとみなすかも知れません。登録されたURLを内容ととるか住所ととるかは難しい問題です。もし、住所とみなせば、住所変更には直ちに応じなければならないと思います。

8. ユーザーが注意すべきこと

  3月末でドメイン移行するといわれてもユーザーは戸惑うばかりです。まず、ベースになるドメイン移行リストがないことがあげられます。唯一あるのが6節で紹介した URL: 「うえぃぶなび」のドメイン変更リストです。これなどはいざという時に役立ちます。4月以降ですが、検索の際にNot Foundに遭遇したら、urlのドメイン部分にor.jpがあればne.jpに打ちなおして、再度検索すれば上手く検索できるかも知れません。

  http

http

  先日、新着情報を見ていた時に、ドメイン移行に該当する旧URLをまだ使って登録している人がいました。1ヶ月たてば抹消されるのを恐らく知らずに登録しています。当検索デスクの逆リンクを調べますと、or.jpのが多数見つかります。特に、情報発信している人は、他へのリンクをチェックすることが必要です。当検索デスクにも多数のリンクがあり、先日、チェックをすませました。

9. むすび

  ドメイン移行は12.2%もNot Foundになるディレクトリ型検索サイトに打撃になります。Not Foundの状態がいつまでも続けばユーザーが離れて行くことは確実です。調査していて気がついたのですが、YahooJは移行がほとんど完了しており、ロボット型のInfoseekはor.jpでもne.jpでも同じ結果になり、gooも更新が進んでおり、InfoNavigatorは調査した37種類の半数がゼロでした。

  ドメイン移行に対してあまりに静かなため、もう裏で移行の準備ができているのではないかと思ったりします。しかし、どうせ対応しなければならないのであれば、ユーザーに混乱を与えてからではなく、混乱を与えない4月1日までにお願いします。いろいろとお騒がせしましたが、インターネットのユーザーの方に、この検索の視点をお知らせ願えれば幸いです。

  ドメイン移行で検索サイトは使えるか

追記

  追記1:JPNICは1999年3月23日に移行リストを発表しました。

  追記2:上記の移行リストと移行未確認リストには388ドメインがあったため、27日朝に再度調査しました。ディレクトリ型のInfoNavigator、Netplaza、DragonNextに対して全数検索しました。その結果、

 

InfoNavigator 25,210 → 7,355、 12.4% → 3.6%
Netplaza   14,942 → 18,238、  9.4% → 11.5%
DragonNext  11,056 → 15,057、 14.7% → 20.1%

  InfoNavigatorは大規模なプロバイダーのor.jpは消滅しており、移行をしている最中でした。調査が128から388へ増加しましたが、NetPlazaは2.1%、DragonNextは5.4%増加しています。従って、ディレクトリ型検索は15%、ロボット型検索は3%のURLが利用できなくなります。(1999.3.27)

  追記3 検索サイトのneドメイン移行対応状況 (1999年7月11日現在)

ロボット型未対応総数割合ディレクトリ型未対応総数割合
InfoNavigator1,940◎ 0.0%NTT DIRECTORY0◎ 0.0%
goo10,366◎ 0.1%Yahoo6◎ 0.0%
Infoseek82,052○ 0.6%InfoNavigator710◎ 0.3%
AltaVista59,262○ 0.9%JOY222○ 0.6%
------Netplaza4,0062.5%
------Dragon2,6833.6%